多和田葉子さんが「全米図書賞」を受賞!
米国において最も権威のある文学賞の一つとされる全米図書賞(National Book Awards)が14日に発表され、第69回翻訳書部門でドイツ在住の作家で詩人の多和田葉子さんの小説『献灯使(The Emissary)』が選ばれた。
『献灯使』は、大災厄に見舞われ、外来語も自動車もインターネットもなくなった鎖国状態の日本を舞台にしたディストピア小説。著者の多和田さんは、1960年東京都生まれ。1991年に『かかとを失くして』で群像新人賞、1993年に『犬婿入り』で芥川賞を受賞。日独二ヶ国語で作品を発表しており、2016年にクライスト賞を受賞。2006年よりベルリン在住。
「全米図書賞(National Book Awards)」は、米国で最も権威のある文学賞の一つ。1950年3月15日に、複数の出版社グループによって創設され、現在は全米図書協会によって運営されている。小説・ノンフィクション・詩・翻訳文学・児童文学の5部門があり、受賞者には副賞が贈られる。
多和田葉子さんプロフィール
1960年、東京生まれ。国立第五小学校、国立第一中学校、都立立川高校を経て、1982年、早稻田大学第一文学部ロシア文学科卒業。同年、ドイツに渡り1982年から2006年までハンブルグ在住。
ドイツの書籍取次会2000年チューリッヒ大学博士課程修了。
1993年、「犬婿入り」で芥川賞受賞。2003年、「容疑者の夜行列車」で谷崎潤一郎賞、2009年には国際的な文学活動が評価されて坪内逍遙賞受賞。ドイツでは1987年に詩集でデビューし、1988年からドイツ語でも創作活動を開始し、ドイツ語で書いた作品群で1996年シャミッソー賞、2005年、ゲーテ・メダル受賞。2006年よりベルリン在住。ヨーロッパ、アメリカ、アジアでこれまで700回以上の朗読会を開いている。
アメリカではスタンフォード大学、コーネル大学、マサチューセッツ工科大学など1999年以降約25校の大学に招かれ、数日から数ヶ月滞在。
著作は日本語でもドイツ語でも20冊以上出版されており、フランス語訳5冊、英訳4冊の他にも、イタリア語、中国語、ポーランド語、韓国語、ロシア語、オランダ語、スェーデン語、ノルウェー語などの翻訳が出ている。韓国語とベトナム語訳も準備進行中。
全米図書賞とは?
アメリカでもっとも権威のある文学賞のひとつで、1950年に複数の出版グループによって創立されました。
現在は全米図書協会(National Book Foundation)によって運営され、小説・ノンフィクション・詩・児童文学の4部門を設置。
受賞者には、副賞として賞金10,000ドルとクリスタルの彫像が贈られます。
歴代受賞者を見てみると、 ウィリアム・フォークナー(第2回、第6回)、ジョン・アップダイク (第15回)、トマス・ピンチョン(第25回)、ジョン・アーヴィング(第31回)、スーザン・ソンタグ(第52回)など、そうそうたる顔ぶれが並んでいます。
多和田葉子さんによる「献灯使」の朗読(一部)
さいごに
多和田葉子さんといえば、毎年京都にある恵文社一乗寺店でイベントをやれています。
2018年は4月に開催されていました。
来年もイベントがあるかはわかりませんが、開催されれば全米文学賞のお話も少しは聞けるかもしれないですね。