今回ご紹介するのは、夢のような世界を描いた小説3選。
長崎県にお住まいのRさんがご紹介してくれました。
ランキングに登場する作家を以下の3人の文豪です。
- 夏目漱石(なつめそうせき)
- 内田百閒(うちだひゃっけん)
- 稲垣足穂(いながきたるほ)
そんな夢の世界に挑んだ、幻想的な作品3選です!
夢のような世界を描いた小説3選
近代文学の中で、夢を描いた小説といえば、まずこれが挙げられます。
1908年に書かれた短編小説集で、「こんな夢を見た」という書き出し方は聞いたことのある方も多いでしょう。
黒澤明監督の『夢』という映画にも使われているフレーズです。
題名の通り、十の夢が描かれていますが、全体としてどことなく不穏な、不安な雰囲気が漂っています。
死ぬ間際の女性に「百年待っていて下さい」と頼まれる夢や、おぶっている子どもが実は百年前に自分が殺した男だったという夢などが好きです。
夢の世界では現実ではあり得ない出来事が、違和感なく普通に行われたりしますが、それがこの作品にも随所で見受けられます。
「それが何の役に立つのか」という人もいるでしょう。
しかし、現実だけを見て生きるのって、息苦しくないですか?
時には、こんな夢の世界に浸るのも、悪くないと思うのです。
おすすめ度 | |
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作品名 | 夢十夜 |
著者 | 夏目漱石 |
文鳥/夢十夜改版 (新潮文庫) [ 夏目漱石 ]
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夏目漱石の門下生の作家・内田百閒の処女作品集で、こちらも夢のような世界を描いていますが、漱石とはまた微妙に異なる味わいがあります。
不穏・不安な雰囲気は共通しているのですが、どことなくユーモラスな描写が散見されるのが特徴でしょう。
「件」という作品では、体が牛で顔だけ人の怪物になってしまうところから始まる物語です。怖がってるのは周りの人間だけで、当の本人はちっとも怖がらずに欠伸なんかをしたりしています。
「冥途」では、亡くなった父の亡霊を見るのですが、その亡霊はこちらに気付いているのかいないのか、終始淡々とした挙動をするため、それが「私」の悲哀を浮き彫りにしています。
漱石よりも人間の弱さや悲しさに寄り添っているスタイルが、とてもクセになる作品です。
おすすめ度 | |
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作品名 | 冥途 |
著者名 | 内田百閒 |
冥途 内田百間集成 3 (ちくま文庫) [ 内田百間 ]
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これは恐らく他のどの作品とも似ていない、極めて稀な作品集です。
たったの二行で終わる短編も収録されています。
登場するのは人間だけではなく、月や星も時に擬人化しながら出没します。
一種のドタバタ喜劇が演じられているようにも思うのですが、まるで映画のフィルムをあちこちで切り取ったようなシーンがそのまま放り出されていたりします。
発表されたのは1923年。
ほぼ百年前の作品ですが、何だかとても新しいものを見ているような気がするのです。
「お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた」というナンセンスな話に至っては、とても真似できない、あまりに特殊な才能のように思います。
おすすめ度 | |
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作品名 | 一千一秒物語 |
著者名 | 稲垣足穂 |
冥途 内田百間集成 3 (ちくま文庫) [ 内田百間 ]
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さいごに
以上の作品のどれか一つでも読まれたら、きっとあなたの今夜の夢はひと味違うこと請け合いです。
と、最後にコメントをいただきました。
気になった方は、ぜひ読んでみてください!